プロジェクトリーダー 山蔭仁嘉 (小児科医)
メンバー 本多悦子(日本語教師・あんじょうまざりん代表)・西村多寿子(保健師)
本プロジェクトでは、愛知県岡崎市および周辺自治体を対象に、外国人母子や未就学児が制度の狭間に置かれやすい状況に着目し、妊娠期から就学前までの切れ目ない支援の実現に向けて、医療・保健・教育にまたがる支援課題への対応を進めています。5歳児健診は就学前の重要な評価機会ですが、言語環境に起因する学習困難の可能性が十分に把握されない場合があります。特に、日本語環境へのアクセスや保護者の制度理解が十分でない場合、言語環境の脆弱さと発達特性が混在し、適切な支援につながりにくい状況が見られます。こうした課題を踏まえ、学習環境の把握と理解保障を進めるとともに、妊娠期から就学前に至る支援の接続強化と支援体制の構築に取り組んでいます。
2026年4月8日に開催したオンライン勉強会において、三河プロジェクトの活動報告を行いました。以下に「活動報告 第6回」より、プロジェクトリーダー山蔭氏の発表を掲載します。
「三河プロジェクトの経緯と実装課題」
山蔭仁嘉氏より、愛知県岡崎市および周辺自治体における外国人支援の取り組みと課題が報告されました。当該地域では、非営利組織や個人による支援が長年継続されている一方で、自治体の多文化共生活動との歩調は必ずしも一致していません。キーパーソンとなる人物の個人的な熱意や努力に依存する側面もみられ、持続可能性に課題がある状況が明らかになってきました。
地域で活動する支援者からは、「行政に働きかけても動かない」「理想論にとどまりがちである」といった声が聞かれ、制度と現場の間にあるギャップに加え、自治体とその周辺地域で活動する支援団体との連携の難しさが改めて認識されました。
本プロジェクトでは、自治体内の保健・医療関連部署における取り組みについて、情報収集と連携の可能性を模索しています。しかし現時点では直接の接点がないことから、岡崎市においては、国際交流・多文化共生に関わる部署へのヒアリングを行いました。

部署では、中国、フィリピン、ブラジルなど様々な国にルーツを持つ、外国語に堪能な職員が、市役所を訪れる外国人に対し、各種手続きの支援を行っています。単なる通訳にとどまらず、来庁者の困り事や必要な手続きを対話の中からくみ取り、適切な部署へとつなぐ役割を担っており、個々の職員がいわば「ハブ」として機能している実態が明らかになりました。
さらに、この部署を起点として、保健・医療関連部署における実務的な外国人対応の向上と内部連携の促進を図るため、職員の理解促進に向けた研修(「市職員を対象とした講演とミニワークによる研修」)を提案していることが共有されました。
本研修では、本プロジェクトメンバーである山蔭、本多、西村がそれぞれの専門的立場から現場の課題と対応のポイントを共有し、外国につながる子どもや家庭への関わり方について具体的に整理します。また、ミニワークでは、窓口対応や健診案内における言葉を「やさしい日本語」で伝える実践を通じて、現場で活用できるコミュニケーション手法の習得を目指します。
