アフリカから来日した家族の話です。お父さんとお母さん、そして四人の子どもたち。お父さんは仕事が見つからず、上の子は学齢超過で中学校には入れず高校への道も閉ざされ、他の子どもたちは学習の基盤がなく日本での勉強についていけない状況でした。家族の日本語もなかなか上達せず、日本での生活は思うようにいきませんでした。それでも家族はいつも明るく笑い合い、前向きに生活を続けていました。

ある日のこと、お母さんがおなかをポンッとたたき、「あかちゃん」と言いました。五人目の妊娠を知らせる言葉でした。私たち支援者から思わず出たのは「大丈夫?」という言葉です。今の生活だけでも大変なのに、出産や子育てが楽ではないことは容易に想像できます。金銭的にも環境的にも心配が大きく、つい不安の声が出てしまいました。ところが、お母さんはスマホを取り出し、翻訳画面をこちらに向けました。そこには『わたしは幸せです』という一文がありました。命を授かったことをまっすぐに喜ぶ気持ち。どうして「おめでとう」と言えなかったのかと、自分を恥ずかしく思い、深く反省しました。私は人として大切なことを学びました。
その後、お母さんは無事に出産し、子育てをしています。お父さんも仕事が決まり、お母さんは日本語の勉強をしています。子どもたちの学習サポートや病院への付き添いなど支援は必要ですが、家族の成長を共に喜ばせてもらっています。ゆっくりでも確かな歩みを見せるこの家族から笑顔が消えることがないように、これからも見守っていきたいです。
埼玉県 外国人支援団体 ボヌール
本コーナーでは個人の体験を尊重し、支援を受ける方々のプライバシーに配慮するため、執筆者の情報は「都道府県」「職種」「ハンドルネーム」のみを掲載します。また、支援場面によっては、医療福祉職などの専門資格を有していても、業務としてではなく、友人や知人として関わったケースも含まれます。
