外国人夫婦から「出生届を出す手続きを手伝ってほしい」と依頼されることがあります。その際、たびたび直面するのが、「結婚証明書が提出されていない」という問題です。母国や在日大使館で発行された結婚証明書と、その翻訳(本人以外が翻訳し署名した日本語訳)を役所に提出することで、日本でも夫婦として一所帯の登録ができる場合が多いようです。ただ、全国の状況まではわかりませんが、自治体ごとに細かい運用は異なるようなので、窓口で確認しておくと安心です。
実際、出生届を出す段階で初めて「結婚証明書を出していなかった」と気づき、慌てて翻訳を依頼されることもありました。結婚関係が登録されないままでは、住民票上で夫婦が別世帯と扱われたり、子どもの在留資格や国籍取得の手続きに影響が及ぶ可能性があります。窓口で説明を受けていたはずの手続きができていなかった理由を尋ねると、「翻訳をどこに頼めばよいか分からなかった」「今すぐ困らないから後回しにした」という声が多く聞かれました。そもそも「手続きをしないと子どもに不利益が及ぶ」という認識自体がなかった方もいました。
結婚や出産はとても個人的なことですが、子どもの将来のためにも、こうした手続きは大切です。困っているご夫婦に出会ったときには、プライバシーに配慮しながら、早めの登録を一緒に考える支援が必要だと感じています。
(新潟県 医療通訳 オーレン)

※補足
結婚証明書の提出については、母国や在日大使館で発行された証明書とその日本語訳が必要です。翻訳には「翻訳者の氏名」を明記することが多く、署名や押印を求める自治体もあります。翻訳者の条件は自治体によって異なり、本人による翻訳を避けるよう求める場合もあります。その際、親族の翻訳を認める自治体もあれば、第三者による翻訳を条件とする自治体もあります。なお、戸籍事務においては公的な翻訳証明や公証は通常不要ですが、ビザ申請など別の手続きでは必要とされる場合があります。いずれにしても、提出先の自治体で事前に確認しておくと安心です。
本コーナーでは個人の体験を尊重し、支援を受ける方々のプライバシーに配慮するため、執筆者の情報は「都道府県」「職種」「ハンドルネーム」のみを掲載します。また、支援場面によっては、医療福祉職などの専門資格を有していても、業務としてではなく、友人や知人として関わったケースも含まれます。
今後は、現場での気づきや実践を共有してくださる方々からの投稿を募集していく方向で検討しています。多文化ケアに関心を寄せる皆様の声をお待ちしております。
